相手に気を遣っているつもりなのに、信頼されません【お悩み相談室 接客マナー編】

今回のお悩み

――― 私はよく言えば平和主義者、悪く言えば事なかれ主義者で、いつも相手がどう思っているかがとても気になります。そのため、お客さまと接する時はひたすらあたり障りのない調子で、相手に合わせることに徹しています。

これほど相手の心象を害しないように気を遣っているのに、お客さまからは、「なんだかあなたは頼りないのよね」と言われてしまいました。本当にショックです。今後私はどのようにすればよいのでしょうか。(煮え切らない販売担当者・20代) ―――

 

意見が言える人になるために

1. 「相手がどう思うかを気にする」のは何故?

「相手がどう思うかを気にする」という言い回しは、言葉だけを聞くと相手を思った対応のように感じます。しかし、多くの場合、じつは主語は自分になっていて、「(自分は)相手にこのように思われたくない」という警戒心および恐怖感から生まれていることが多いものです。相手との関係に波風を立てたくない、否定されたくないという思いを表面上取り繕った”自分の問題”なのです。

「相手がどう思うか気にする」、自分の本当の気持ちは……
→「相手と違う意見を言って嫌われたくない」
→「相手を怒らせたくない」
→「相手に(自分を)気に入って欲しい」

他にも、否定されたくない、失敗したくない、もめごとを起こしたくない……そのような心情が隠れていませんか?まずはあなたの中にある「(〇〇されたくないから)私見を言うのは差し控えよう」を深堀りしてみましょう。

2. あたり障りのない会話は、本当にお客さまの気分を害さないのか?

隠れた心情をつかむことで、あなたの不安の正体はわかりました。その上で冷静に考えてみましょう。あなたなら、何を言っても「そうですねえ~」だけの相手に対してもっと話してみようと思いますか?言語で説明されない相手の本意を100%理解して、信用することはできるでしょうか?

相手の反応を極端に恐れて発言しない場合、表面上は穏やかかもしれませんが、相手の内面は「何考えてるかわかんないなぁ」「自分の意見がないひとだなぁ(頼りにならないな)」という感情を抱かれるのではないでしょうか。何を言っても反応が悪い!と、怒りさえ覚えるお客さまもいるかもしれません。

3. 「話せない・言えない」ならば、まずは「聴く」

自分の意見を発言することが怖いタイプは、まず相手の意見を聴くことからはじめましょう。自分より相手がどう思うかをいつも考えて生きてきたあなたはきっと優しい人です。相手の話に対して、適切なあいづちをうったり復唱することで、相手の意見をまず「聴く」ことは得意なはずです。

4. 相手の意見を聞いて、同意する部分にあいづちをうつ

「あなたと話していると気分が良くてついつい話してしまうわ」
そんな対応者になるために、あいづち上手になりましょう。

相手の意見と自分の意見が同じ場合
「お気持ち、よくわかります!私も……と感じます」
「〇〇だったのですね。私も〇〇と考えることあります!」

このように、まずは相手の意見にYes!と同意し、復唱するところから自分の意見を述べてみましょう。

5. Yes,But よりも Yes,And で意見をつなげる

それに慣れてきたら、意見に対して異なる部分を見つけていきましょう。その場合、よくマナーの本に書かれているYes,But方式はけっこうハードルが高く、失敗しやすいのです。自分の意見を言うのがヘタな人は、まずはYes,AndやYes,Orから練習してみましょう。

相手の意見が自分の意見と違う場合
Yes,But「……と感じるのですね。でも、私はこう思います。」

これはいささかムッとする対応ではないでしょうか。

おすすめは、下記の二つです。
Yes,And「……と感じるのですね。私は……という風にも感じたりしますが、いかがでしょうか」Yes,Or「……と感じるのですね。もしくは、……というのはいかがでしょうか」

加えてこういう考え方もあります/もしくはこういう考え方もあります」という意見の言い方であれば、相手と異なる意見も、少しは伝えやすくなるのではないでしょうか。

 6. 自分の提案に対しての意見を聞く

ここまで慣れてきたあなたは、もう一歩先に進んで「言葉のキャッチボール」を試してみましょう。自分の意見や提案を言ってみる、それに対しての意見や感想を求めるのです。そうすることで、お客さまの考え方や思いという「内部に抱えた感情」を表面に引き出すことができます。ここで意見が対立してもなんの問題もありません。

▼ご提案の例
あなた「黒か紺かお悩みとのことですね……であれば、私なら一足目には黒をおすすめしますが、いかがですか?」
お客さま「う~~ん……。いや、でもやっぱり紺が欲しいわ」
あなた「紺がお好みなのですね!確かに紺は黒よりおしゃれな印象ですよね。」

「相手がどう思うか」から「自分はどう思うか」へ

そもそもの想定として、「考え方・意見が全く同じということはありえない」「むしろ意見が食い違うことの方が多い」ということを肝に銘じておくべきです。必要以上に下出に出て話すよりも堂々と自信を持ってご提案してみると、案外何を言っても「そうですねぇ」の人より信用されるようになるものです。ビジネスシーンの中では、必ずしも「沈黙は金なり」ではないことをまずはしっかり認識しましょう!

相手が自分をどう思うかばかり考えていては疲れるばかりです。少し肩の力を抜いてみませんか?あなたが相手の意見をどう思っても自由、相手があなたの意見をどう思っても自由なのです。意見の相違が、人としての好き嫌いに直結するわけではないのですから。

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